ありのままの自分でいられる場“川崎市子ども夢パーク”見学記

2008年7月11日 13時13分 | カテゴリー: 活動報告

この施設の基本理念は≪子どもの自由な発想で遊び、学び、つくり続ける施設(場所)≫
ということで、今回は5年ぶりにネットメンバーや市民も交えての見学となった。‘06年には指定管理者制度が導入され、現在は不登校児童・生徒の居場所「フリースペースえん」を運営するNPOが、川崎市生涯学習財団と共同で夢パーク全体の管理・運営を行っている。

夢パークは川崎市が全国に先駆けて制定(‘00)した「子どもの権利に関する条例」を具現化した施設だ。
・第27条(子どもの居場所)「子どもには、ありのままの自分でいること、休息して自分を取り戻すこと、自由に遊び、活動すること、安心して人間関係をつくり合う場所が大切である。市は居場所の確保・存続、および市民・関係団体との連携・支援に努める。」
・第31条(参加活動の拠点づくり)
・第34条(子どもの利用する市の施設設置・運営に関する子どもの意見)
条文でこの根拠規定がある限り、政治的スタンスが変わってもこの施設の存在がぶれることはない。【子どもの最善の利益】を第一に考え、子どもとしての大切な権利を明文化した条例の存在に大きな意味があるのだ。

■プレーパークは「ケガと弁当 自分持ち!」
敷地は約1万㎡。屋外にはプレーリーダーが常駐し、穴を掘ったり水はもちろん、ノコギリや火を使うことだってできるプレーパーク(冒険遊び場)がある。
「子ども達が作った落とし穴があるから気をつけて!」と案内されたのは泥を運んで作ったという山。その上には子ども達が廃材で作ったという傾きかけた小屋がある。勝手に手を入れるわけにもいかず、子ども達に声をかけるタイミングを計っている最中だという。
ウオータースライダーから潔く泥水に落ちていく子ども達の歓声と爽快な笑顔。それを見守りながら親たちはログハウスのデッキで語らう。中にはお年寄りの姿も・・・。

「ケガと弁当自分持ち!」を合言葉に自分の責任で自由に遊ぶ。禁止事項は極力つくらない。時にはケガをすることがあっても、命にかかわらない限り、少々の失敗や痛い経験は、 本当の危険から身を守る力を子どもが身につけるひとつのチャンスでもある。 「やってみたい!」という思いを実現し、自分の限界に挑戦しながら、いくつもの「できた!」という体験を重ねることで、生き生きと輝いてくる。自己肯定感とはこういう日常の小さな積み重ねから生まれてくるのだろう。

■「子どもの目線」を取り戻す
行政への苦情や要求型ではプレーパークは成り立たない。これまでケガやリスクなどさまざまな出来事に対する責任追及の風潮が子どもの自由な遊びを次々に奪ってきた。「失敗するチャンス」や「成功するチャンス」を与えず、目先の評価にとらわれ、効率を重視した大人側の望む子育てになってはいないだろうか。これは今の学校教育にも通じることだ。子ども達が引き起こすさまざまな行為も「子ども達が変わった」のではなく私たち大人が子どもの育ちを変えてしまった結果なのだ。「子どもの目線」で育つ環境を問いなおすことが必要だ。

■自主的・自発的な参加活動の拠点
屋内施設の全天候型広場ではバスケやテニス、ダンスなどを楽しむことができる。日本のウオールペイントの創始者・ロコサトシさんと子ども達が描いたという壁絵は、見ているだけで楽しくなる。中高生に人気のバンド練習スタジオ。川崎市子ども会議事務室。学習したり、本を読んだり、寝転んだりできる交流スペースやオムツ変えや授乳ができるスペースもある。その隣に学校外の育ちと学びの場「フリースペースえん」があり、いつもいい匂いがしている。不登校だって、夢パークの中では放課後にやってきた子ども達とみんな一緒に混ざり合って遊ぶのだ。

■子どもが主体「子ども運営委員会」
この日も、子どもだけで会議が進められていた。自分たちで、運営のことや様々な事業を決定し進めていく。それを地域の大人が支援するのだ。市民中心の「子ども夢パーク支援委員会」が限られた人数の職員スタッフをバックアップしている。人と人とがつながる経験がきっと社会を変えていく力になるだろう。

■「子どもの権利」を学ぶ
場の継続に欠かせないのが、そこに関わるより多くの人と運営や施設維持に係る経費だ。子ども時代の育ちで未来も変わる。生涯のうちでほんのわずかな子どもと呼ばれる時期に、本当に必要な部分にお金と時間とスペースを確保することができているだろうか。子ども達に何を託すのか。未来の在り方を問われているのは、実は今の私たちなのかもしれない。

2008年1月現在、58の自治体が既に子ども(の権利に関する)条例を何らかの形で制定し、24の自治体が政策途上である。
稲城市の子どもを取り巻く環境はどうだろう・・・?
「子どもの権利」について行政や子どもを取り巻く全ての大人、そして子ども自身が学ぶことから始めていく必要があるのだと思う。

★「川崎市子どもの権利に関する条例」より抜粋
第10条  安心して生きる権利
         第11条  ありのままの自分でいる権利
 第12条  自分を守り、守られる権利
         第13条  自分を豊かにし、力づけられる権利
         第14条  自分で決める権利
         第15条  参加する権利
 第16条  個別の必要に応じて支援を受ける権利
第27条  子どもの居場所
第31条  参加活動の拠点づくり)

                               中村みほこ