障がい者の働く場を考える 視察報告②

2013年4月25日 17時31分 | カテゴリー: 活動報告

 

豊能障害者労働センターのオリジナルTシャツは代表の小泉祥一さん作

 

♦障害者事業所「豊能障害者労働センター」訪問

ちまちま工房の永田さん、大野さんの案内で、豊能障害者労働センターを訪問し、代表の小泉祥一さんにご挨拶。副代表の新居さんにお話を伺いました。

 

「どこにも行くとこあらへん!」

ひとりの少年の叫びから始まった。。。。。

障がい者自身が経営に参画し、仕事をつくりだす

1982年養護学校を卒業した脳性麻痺の小泉祥一さんの叫びをきっかけに、障がい者2名、健常者4名で豊能障害者労働センターを設立。以来、地域での自立生活を進めるために障がい者自身が経営を担い、様々な事業を作り出しています。そして障がいの有無にかかわらず、共に働き、入ってきたお金をそれぞれの人の生活を考えて分けあっているとのことでした。自立生活している人、自宅から通っている人、中途障がいで無年金の人など状況は様々だからです。現在のスタッフは障がい者37名、健常者23名、合計60名。

 

「重度障がいがあっても、地域であたりまえに働きたい! 自立したい!」

労働意欲があっても一般就労が困難な場合、福祉的就労で訓練を続けても自立生活は実現できません。この労働センターでは障がいがあるひともないひとも最低賃金を保障された労働者です。なぜこんなことができるのかというと、箕面市独自の「障害者事業所」制度による賃金補填があるからです。一般就労でも福祉的就労でもない中間的な就労の場への賃金補填等は労働者としての社会参加を求め続けた小泉祥一さんたちの活動の成果です。

 

■箕面市独自の「障害者事業所」制度 

現在障がい者65名が働く4事業所に対して市の補助金が「一般社団法人箕面市障害者事業団」から助成金として支給されます。

 

●助成金額

①    障害者助成金:支払賃金の4分の3(上限118万円/年/人)

②    援助者助成金:定額補助(135万円/年/人、雇用障害者8人までは2人、5人毎に1人増)

③    作業設備等助成金:定額補助(雇用障害者8人まで192万円/年、5人毎に102万円/年)

 

●助成要件

(1)  職業的重度障害者の雇用実数が4人以上でかつ、雇用割合が30%以上

(2) 障害者雇用及び職業開拓・職域拡大に向けた事業内容を社会的に明示

(3) 障害者雇用に関して箕面市・箕面市障害者事業団との連携を保持

(4) 事業所内外で人権・福祉問題の啓発実施

(5) 事業所の経営機関への障害者自身の参画

(6) 労働保険(労災保険、雇用保険)の適用事業所

(7) 事業所としての経営努力

 

■社会的雇用制度で社会的コストが削減できる!

一般企業への就労が困難な「職業的重度障害者」が自立を目指して働き、所得を得るシステムを『社会的雇用』と呼んでいます。箕面市が行った社会的コストのモデル試算によると『社会的雇用』で新たなコストが発生しても、非就労の場合の福祉コスト(昼間ヘルパー派遣や生活保護費、ガイドヘルパー、生活介護など)が減るので、社会的コスト全体を削減できるとしています。

障害福祉サービスの負担割合は、国1/2、都道府県1/4、自治体1/4。生活保護費は国3/4、自治体1/4。

現状をみると65名の障がい者雇用で国や大阪府の福祉コストが軽減されたにもかかわらず、箕面市単独制度のため、市の負担が増大し、今後の拡大は困難です。滋賀県にも「社会的事業所」制度があります。これらの先進的な取り組みを、自立を目指す障がい者の新たな就労支援施策として国の制度化を提案しています。  ★一日も早い実現を期待したいですね。

 

■人と人が出会い、つながる場としての効果

「障害者事業所」が展開する市民との協働事業は共に働く健常者、介助者、ボランティアの雇用も創出しています。お互いの在り方を受け止め一人ひとりを大切にする働き方は、障がい者のみならず被差別地域出身者、外国籍市民、高齢者、母子家庭など働きにくさを抱える人たちの職場も生み出してきました。地域コミュニティの活性化、さらに人権啓発の主体として大きく貢献しているのです。

 

★1981年「完全参加と平等」をスローガンとした国連の国際障害者年からすでに32年。福祉施策の中に障がい者を囲い込むのではなく、労働施策と一体化し、障害者権利条約の「合理的配慮」の実現に向けて、投資の流れを変えていく時ではないでしょうか。

「働く」ことでの社会参加によって、生きがいや自尊感情が高まるのは、何も障がい者に限ったことではありません。目指すべきは「働きたいひとが共に働き、対等、平等、インクルーシブな協同社会」です。★

 

  労働センターは土曜日にもかかわらず、みなさん仕事中でした。2日間休みがあると時間を持て余すので、出てくる方が多いのだそうです。やっぱり居場所になっているのですね。(^^)v

 

豊能障害者労働センターの事業

通販事業、リサイクル事業5店舗、飲食店舗、弁当配食事業、福祉ショップ、点訳事業。

機関紙「積木」は企画会議から発送まで1か月。市内5000部、全国5000部の計1万部を発行

 

2011年度決算

売 上  約9000万円

助成金  約6800万円(市:5000万円 国:1800万円)

収入合計 約1億5800万円⇒ 人件費 約9000万円

            ⇒ 経費 約6800万円

                                   

 

 

■国制度の障害福祉サービス

●就労継続支援(福祉的就労)

一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。

A型事業所は“雇用型”   2011年度 平均賃金: 71,513円

労働者として最低賃金を保障する。しかし現実には賃金減額特例(40%程度地域差あり)が設定される

B型事業所は“非雇用型”  2011年度 平均工賃: 13,586円。

訓練生のため、社会保障なし

●就労移行支援

一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練を行います。