精神保健「ユースメンタルサポートMIE」

2013年5月2日 15時59分 | カテゴリー: 活動報告

「三重県立こころの医療センター内・ユースメンタルサポートセンターMIE」(三重県津市)にて、原田雅典院長より、説明を受けた。

2008年10月より、三重県立こころの医療センター内に、イギリスやオーストラリアで効果が証明された早期発見・早期介入を実践するため、若者の精神保健支援(YMSC MIE)を立ち上げた。慢性化予防のための精神病性障害の予後改善、発症予防を含む引きこもりや不登校の若者の精神保健支援をYMSCの対象としている。

思春期の精神保健問題は、キレる、ムカつく、いじめ、リストカット、自殺念慮、うつ・不安、摂食障害、強迫性障害、アルコール・薬物依存、引きこもりなどがあげられ、どれも深刻である。特徴として身体化・行動化しやすく、複雑な葛藤を言語化しにくい。また、ライフサイクル問題であることも考えられ、確定判断が難しく受診をためらう傾向にある。進学・就労と関連した葛藤も重なり、対処・相談をどこに求めればよいのかわからないケースが多く見られる。

 YMSC MIEでは(ケアマネのような仲介型、アドバイスを行うセラピスト型の)ケースマネージャーを配置し、医師以外のスタッフが医師の指示がなくても必要に応じて動けるコーメディカルの体制をつくって支援にあたっている

アウトリーチ、地域や学校との連携といった難題にも取り組み、アウトリーチ型こころのケアチームでは、自主性を持った迅速なアセスメントや家族のサポートを行い、不必要な入院を避けるためにチームで支援をしている。地域の医療機関と連携して未治療期間の短縮やスティグマ(偏見)の軽減を目的に継続的な早期介入の啓発活動も行っている。

学校におけるメンタルヘルス支援としては、医療的なものだけでは解決できないことから多職種チームが学校に出向くアウトリーチが行われている。相談は診療より軽いものではなく、きちんと機能すれば有効であることから、専門家が来て相談できる環境を整備。また、精神疾患は生活習慣病と同様にめずらしくない病であり10代後半に大半が発症、一生のうち5人に1人がかかる試算であることを踏まえ、学校で学ぶ機会として、精神保健授業を改良を重ね実施している。早期精神疾患の就学・復学支援もきめ細やかに行われている。若者は生活の変化にスピードがあり、「休養第一の治療は無理」を前提に本人の強みを重視し、本人、家族の希望を把握し、学校との連携を図り、目標の優先順位を決定するといったケースマネージメントをしている。

課題としては、教育・就労・福祉・医療を貫くメンタルヘルスを位置づけること、若者視点から施設・活動をとらえなおすこと、若者のライフサイクルに沿った医療を正当に位置づけること、家族支援を必須とすることなど、院長の原田雅典氏から指摘、提言があった。

地域や学校で精神疾患の理解を促す取り組みを行い、徹底して支援をされる側に寄り添ったサービスのワンストップ化の国内実践を目の当たりにし、希望が持てた。