精神医療を問い直す

2014年12月25日 15時43分 | カテゴリー: 活動報告

統合失調症「薬なしでの回復http://wildtruth.net/dvdsub/ja/

元心理療法家ダニエル・マックラー監督の長編ドキュメンタリー映画を3本ご紹介します。YouTubuでご覧ください。 

“精神科医療薬漬け”の現状を問い直すきっかけにしたいと思います。治療の新たな方向性を「開かれた対話」の研究に期待します。

 

「開かれた対話」オープン・ダイアローグ

フィンランドの北部深く、西ラップランド地方では1980年代から革新的なファミリー・セラピストたちが地域の伝統的なメンタルヘルス体制を変革し、ヨーロッパで最悪の統合失調症治療結果であったが、初期精神病に関しては世界で最高の統計的結果を出している。このアプローチを「開かれた対話」と呼ぶ。

彼らの原則は、驚くほどシンプル。危機にあるクライエントに即座に自宅で会い、危機が解消するまで毎日2時間のセッションを続ける。そして、向精神薬の使用を極力避ける。また、彼らはグループで働く。精神病は人間関係とかかわりのある問題だとの考えから、治療のプロセスには家族や社会ネットワークも巻き込む。彼らのアプローチはかかわる人たちすべての意見、特に危機にあるその人の意見を重視する。彼らのサービスは、フィンランドの社会的医療の中で、無料で提供される。

 

「その破れた翼でも」//Wild 

精神科の薬剤なしで人々が完全に統合失調症から回復しうることを示している。メンタルヘルス分野の大半、そしてもちろん製薬産業は、これは不可能だと主張するに違いない。映画は深刻な統合失調症から回復した二人の女性の人生を中心にしている。彼女らの統合失調症のルーツは子ども時代のトラウマにあり、才能ある臨床家との成功した心理療法の詳細を追う。

最初の女性はジョアン・グリーンバーグ(50年以上完全に回復状態)、ベストセラー『バラの庭は約束しない』の作者。二人目はキャサリン・ペニイ(30年以上完全に回復状態)、カリフォルニアで精神科看護婦をしており、その治療の話はセラピスト、ダニエル・ドーマン医師によって著書『ダンテの治癒:狂気からの脱出』の中でも語られている。

 

「癒しの家」

スウェーデン・ヨーテボリのファミリー・ケア財団の仕事を追う。複数の投薬と一生もの(慢性疾患)という精神科診断が当たり前の時代に、ここでは人々の精神病からの回復を薬なしで助けるプログラムを実践している。この団体は、20年余りの経験に基づき、伝統的な精神科治療で上手く行かなかった人々をホスト・ファミリーに預ける-主にスウェーデンの田舎の農家の家庭に-そこで彼らがまったく新しい人生の旅を始められるように。

ホスト・ファミリーは精神科の専門性ではなく愛情、安定、何かを返したい欲求によって選ばれる。1、2年以上これらの家族といっしょに住む人々は、機能している家族の一員となる。スタッフはクライエントに集中的な心理療法を、また家族には集中的なスーパービジョンを提供する。ファミリー・ケア財団は診断に頼ることを避け、人々が安全に精神科の薬を止めることができるような体制で働き、スウェーデンの社会化された医療の中でサービスを無償で提供する。 

 

■これからの精神医療ユーザーがめざすものは

精神医療では多くの場合、短時間診療、マニュアル診断、薬物療法、そして慢性疾患のため一生服薬が常識とされています。しかし精神疾患の生物学的メカニズムは未知のまま、統合失調症の組織学的特徴も何一つ発見されていません。薬で幻覚を消すことができないのは医師も認めています。服薬以前に行われるべきことは恐怖や不安、苦しみを引き起こすエピソードなど、環境因子の問題への心理的社会的アプローチがないがしろにされてしまっているのではないでしょうか。

医療スタッフや援助者が患者と信頼関係を築くための基本的なアプローチすら圧倒的に不足しています。このドキュメンタリーでは本人と援助者相互の対等性が存在しています。それ相応の時間と労力は無料が前提で提供され、多くの統合失調症が回復するという治療結果に希望を感じます。

 

■なぜ 向精神薬によって精神障がい者は急増を続けるのか

精神医学は半世紀以上も向精神薬を使用してきました。しかし、それ以前の方が多くの人が回復する病気だったという事実や、服薬は長期的な転帰が悪化するという研究報告をWHOや大学等の多数の機関が発表しているにも関わらず、なぜ私たちにはその情報が知らされないのでしょうか。安易に薬に頼らないこれらの治療法には確かなエビデンス(根拠)が存在するのです。彼らの実績は自ら探し求めなければ得ることはできません。巨大な力でコントロールされがちな精神医療の情報に疑問をもたなければ回復の事実や方法すら知ることはできないのです。

投薬は実際の作用や有害性、病気の慢性化を招くリスクについて理解不足のまま、今や発達障がい児と診断された幼児・児童・若者から認知症の高齢者まで拡大。この中で本当に薬が必要な人が何割存在するのでしょうか。

 アメリカでは、65才未満の成人400万人が精神病による障害でSSDI(社会保障障害年金)やSSI(補足的保障所得)の給付を受けている。20年前子どもの精神科治療薬の処方が一般的になり、今では18才から26才の15人に1人に精神病による「機能障害」がある。そして毎日約250人の子どもたちが精神病を理由に新たにSSIに登録されているという。精神医療従事者が集まり「製薬企業などの資金に頼らない独立した研究機関」を立ち上げ、真の精神疾患治療法を模索する活動が、すでに始まっているとのことです。さて、日本では・・・

 

■こころを整理するプロセスをだれが担うのか

感情の『爆発』を引き起こすきっかけは人それぞれ。過去に傷ついた感情を無意識下に閉じ込めても、記憶を消し去ることはできません。またネガティブ感情は脳の同じ部分に記憶として収納されるといわれ、小さなきっかけで一気に表出することがあります。共有・共感してもらうことが治療の第一歩。こころを整理するプロセスが「回復」に重要な要素であることをこのドキュメンタリーで知ることができます。

「安心」できる場で「信頼」できる人たちと自分自身を客観視したり、周囲の状況を分析する思考を積み重ねながら、感情表出や行動のセルフコントロールを訓練していくことで、少しずつ楽に生きていけるのではないでしょうか。トラウマとなった経験・感情を癒すには寄り添う援助者が必要です。

 

≪参考書籍≫

 *心の病の「流行」と精神科治療薬の真実   ロバート・ウィタカー著    

 *精神疾患は脳の病気か?   エリオット・S・ヴァレンスタイン著